イラン株ヘッジファンド「Black Clover」への投資成績を公開

ども。辞めリーマンです。

 

本日は辞めリーマンが出資しているイラン株ヘッジファンド「Black Clover」について解説したいと思います。実際の運用成績についてもすべて公開しますので是非ご覧ください。

 

※本ヘッジファンドへの投資を推奨するものではありません。運用結果は嘘偽りなく公開していく予定ですが、もし投資される際は自己責任でお願いします。

 

目次

 

イラン株ヘッジファンド「Black Clover」とは

 

会社情報

「Black Clover」の会社情報は以下の通りです。

 

社名:Black Clover FZ LLE

設立日:2015年8月31日

事務所:(ドバイ)ブルジュ・ハリファ 48階

代表者:坂本俊吾

 

ドバイに拠点を置く投資会社なんですね。いわゆるオフショアにある投資会社です。設立からまだ5年しかたっていません。

 

ファンドマネージャー

ファンドマネージャーは代表者の坂本俊吾さんがつとめられています。東大卒の若干33歳ととても若いファンドマネージャです。大学卒業後に英国投資銀行バークレイズにて勤務したのち、前職での同僚や知人とともにBlack Cloverを設立され、現在ドバイ在住。

 

ネット情報によると、トータスパートナーズというヘッジファンドのファンドマネージャーもされているようです。同様にBMキャピタルやフロンティアキャピタルという会社でもファンドマネージャーを務めているとの情報がありますが、BMキャピタルとフロンティアキャピタルで集めたお金はBlack Cloverにて運用さていますので、BMキャピタルとフロンティアキャピタル≒Black Cloverと考えて支障ないでしょう。日本法人であるBMキャピタル、フロンティアキャピタルの上にBlack Cloverがあるイメージです。

 

Black Cloverの投資対象はイラン株

イラン株と聞いてなにかイメージをできる人はいるでしょうか?ほとんどの方が馴染みがないと思います。それもそのはず、日本ではBlack Clover以外にイラン株に投資する方法はありません。そもそも日本人に限らず外国人がイラン株を購入することは非常に難しいらしく、少し情報は古いですが、2017年10月時点で外国人投資家は946人しかいません。当時日本人ではBlack Cloverが初だったようです。

 

ではなぜそんなニッチなイラン株にBlack Cloverは投資しているのか。一般人の感覚からすると、イランといえば、最近ですとアメリカとの緊張状態が思い出されます。また、イスラム過激派によるテロ行為や戦争・紛争といったイメージを持たれているのではないでしょうか。

 

確かに様々な問題を抱えているもの事実ですが、経済面に焦点を当てると非常に魅力的な国のようです。

 

イラン株のメリット

イラン株のメリットを挙げると次の通りです。

 

高い配当性向

配当性向の平均が約66%と非常に高水準です。銘柄によっては90%以上のものもあります。ちなみに日本の配当性向は約30%です。

 

高い配当利回り

配当利回りは平均で8%を超えます。銘柄によっては20%を超えるものもあります。ちなみに日本は2~3%くらいです(コロナの影響もあり今は上がっていますが、通常時であれば)。

 

割安な株価水準

PERが約8倍と世界的に見ても低水準で推移しておりまだ上場余地があります。

 

高い自己資本収益率(ROE)

ROEの平均が約34%にも上ります。これは、100万円投資したら34万円の純利益を生む計算ですからいかに高いかがわかります。日本は10%くらいです。

 

 

このように株式市場だけ見ると非常に魅力的です。事実、イラン株式市場(TEPIX)は2016年からの3年間で約3倍と非常に非常に好調です。

 

イラン株のデメリット

一方で、いいことばかりではありません。デメリットについても見ていく必要があります。

 

経済制裁・金融制裁

これはまさに今アメリカとの間で問題になっています。すでに経済制裁も発動されていますが、このような状況の中でもしっかりとしたリターンが望めるかどうかが重要になります。

 

為替リスク

イラン通貨であるイランリアルが金融恐慌等で暴落する可能性が考えられます。また、定常的にイランリアル安が進行する傾向にあるため、株式でのリターンがイランリアル安を上回り続ける必要があります。

 

外国人投資家に対する規制

何らかの理由により外国人投資家に対して投資の制限がかかる可能性があるかもしれません。ただ、現在は外資開放に非常に積極的なようです。

 

最低出資額はいくらからか

最低出資額を担当者に確認したところ、イラン株への投資を行っている商品への出資は通常1,000万円~とのことでした。同じくBlack Cloverで日本株のバリュー投資を行っている商品への出資については、非常に人気があるため1億円からの出資しか受け付けていないそうです。商品によって出資金額が変わってくる理由は、海外の私募ファンドの場合、特定の期間内に販売できる人数が決まっているからのようです。ヘッジファンドとしてはより多くのお金を集めたいわけですが、単純な先着順にしてしまうと金額が少ない人も受け入れることになり、後から多くの出資をしてくれる人を受け入れられないリスクがあります。そこで、人気がある商品(購入したい人が多い商品)はどうしても金額の多い人から出資してもらうことになり、最低出資金額も大きくなります。

 

ちなみに、イラン株投資の商品はリスクも高いことから人気がないらしく、今回は100万円でも受け付けてもらえました。昨年7月の話ですから、現在はいくらから受け付けてもらえるのかはわかりません。

 

手数料はいくらか

手数料は、購入時と保有期間中にかかってきます。

 

購入時手数料

購入金額の5%を手数料として取られます。今回私は100万円出資しましたので、手数料として5万円かかりました。

 

保有期間中の手数料

こちらは「期首純資産×0.5%×3」もしくは「期首純資産×0.5%×3+(収益-繰越欠損金)×50%」のいずれか大きい値となっています。非常にわかりにくいですね。。。

 

言い換えると、「期首純資産の1.5%」もしくは「期首純資産の1.5%+収益の50%(ただし、繰越欠損金がある場合は収益から差し引いた上での50%)」となります。

 

これでもわかりにくいですね。。。後半がわかりにくいので具体例を出して説明します。

 

例えば、100万円が110万円になった場合、期首資産の1.5%である1.65万円と、収益10万円の50%、つまり5万円の合計6.65万円を手数料として取るということになります。

 

結果、自分の手元に残るのは103.35万円ということになります。これは手数料としてはめちゃくちゃ高いですね。

 

ただ、次の期にまったく収益が上がらず103.35万円だった場合は、かかるのは1.5%だけということなります(決算は3か月毎なので、これだけでも年間6%かかる計算になりかなり大きな手数料です)。

 

また、例えば一度純資産が90万円になって、それが100万年になっても上昇した10万円に50%の手数料を取られることはありません。あくまでも純資産が過去最高を更新したときのみ、更新した部分に50%の手数料がかかってきます。

 

そういう意味では、ファンドマネージャーも大きく稼ぐためには過去最高純資産を更新し続ける必要があります。まあ預かり資産の6%が毎年入ってくるだけでも考えられない金額なりますが、成績が悪ければ出資者も減っていってしまいますから。

 

現在のリターンを公開(2020年3月31日時点)

前置きが長くなりましたが、2020年3月31日時点のリターンを公開します。

 

2019年7月1日に100万円で購入して、2020年3月31日時点で日本円で約110万円です。

 

9か月保有して利回り10%ですから、年利換算すると約13.3%となります。

 

手数料等を考えるとなかなか優秀な数値ではないでしょうか。今後どうなるかはわかりませんが。。。ですので、今後も決算期の3か月ごとにリターンを公開していきたいと思います。

 

コロナショックでわかったイラン株の優位性

また、今回特筆すべきことは、2020年1月~3月期において株価がコロナの影響をほとんど受けていないことです。ご存じのように、米国の代表的な株価指数である S&P500 は 3 月 31 日時点において年初 より 20%下落し、日本の株式市場においても日経平均が 20%、TOPIX は 18%下落しました。一方で、イランの株式市場は 1 月、2 月、3 月と全ての月において上昇しています。

 

一般的に米国市場と日本を含む世界市場の値動きは連動する傾向にあり、米国株が下落すると日本株も下落します。世界各国で猛威を振るっているコロナウイルスにより世界経済が深刻な影響を受け、それは資本の集約地である米国市場が世界に与える影響が甚大であることに起因していると考えられますが、一方でイランの金融市場は世界の金融と隔絶されているため、直接的な影響がほとんどなかったようです。

 

他の新興国市場が軒並み売られているのに対し、独立性を有するイラン市場は他の市場と連動せず独自の成長を続けています。これは、金融危機の連鎖を免れたという点において1930 年代の世界恐慌時に欧米諸国が不況に苦しむ中、ソ連だけが急速な経済成長を果たした状況に類似しています。

 

また全ての産油国は原油安による悪影響を受けていますが、イランは米国の経済制裁の影響によって原油輸出額が大幅に制限されていたことから、経済における原油の依存度は相対的に低くなっており、この影響は限定的のようです。

 

非常に皮肉な話ですが、経済制裁によって原油輸出を制限させられたことで、原油に依存しない経済体制の構築が進められたことが、逆にイラン経済を強固なものにしたのでしょう。

 

イランの株式市場は米国や日本の株式市場とは今四半期を見ても値動きに相関性は見られないことから、資産を米国株や日本株などの相関性の高い資産に集中するのではなく、イラン株式市場という独立した資産に投資するというのはリスクヘッジの面で意味のあることだと感じました。

 

 

少し長くなりましたが、本ファンドのリターンについて引き続き公開していきます。

 

ではでは。